嘘つき⑤【-sign-】

それから、


どうやって時が流れたのか分からない。



何も変わらない日々。



ただ、どうしても拭えない私の嫌悪感だけが父様と瑠香さんに募る。



けれど、



どこかで、知っていたのかもしれない。




思えば、瑠香さん親子が家に来て以来、瑠香さんが盲目的に父様に従っていたのは明らかだった。

二人がどんな関係なのかは知らない。



瑠香さんの愁哉さんに対する感情も、私に対する感情も仮面を被ったものであったとしても、



どうでもいい事なのね。


きっと。




私が失いたくなかったのは『優しいお姉様』の瑠香さん。



結局、私もおかしいんですわ。






瑠香さんがいなくなったのはその後すぐで、置き去りにされた感情は今でも胸を締め付ける。

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