嘘つき⑤【-sign-】
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ゆっくりと動く視界に、規則的な揺れは穏やかで、
触れる温もりが懐かしくて、
このまま眠っていたい意識は、その暖かさの離れる感覚で目をさます。
躊躇する様に、触れる指先。
優しい息遣い。
私は、この温度を知っている。
「…起きましたか」
気付けば、私は自室のベッドの上で、
「…ここまで運んで下さったの…?」
心配そうに覗き込む彼に胸が締め付けられるように痛んだ。