嘘つき⑤【-sign-】

天童さんが不愉快そうな表情を隠しもせず目を細める。威圧的で、上からの目線はどう繕ったってかわらないけど、別に怖くない。

この驕った態度に何か、決定的な打撃を与えてやりたいのに、そんな立場でも、状況でもないのが歯痒い。盲目的に部長を好きでいられる女なら楽だったのに。

後ろから小さく、足音が近付くのに、あたしも天童さんも気付いて、一瞬絡んだ視線は色を変える。




「…教えてあげましょうか」





そう小さく囁いてクッと笑った彼女にあたしはピクリと眉を動かせた。

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