嘘つき⑤【-sign-】

正直、堪えた。


部長の瞳は確かに天童さんを捕らえていて、入りようのない雰囲気に一瞬呼吸困難になるんじゃないかと思う位動揺して、


ああもう、揺れない、ぶれない人になりたい。いつだってそう強く思うのに。

部長と関われた数日間だけであたし、多分人生の大半の気力使い果たしたんじゃないかな、だってこんなの。




「…部長、少しお話かまいませんか」



気付けば、天童さんと部長の雰囲気から逃げる様に、抗う様に、部長の袖を掴んでいた。



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