嘘つき⑤【-sign-】
絡み合った視線は、雰囲気を圧倒する程、重い空気を纏う。部長が、その感情を殺した様な目であたしを射抜いただけで、怒っているのは容易に分かった。
掴んでいた手を反対の手で引いて、部長がドンとあたしを壁に押し付けたのは一瞬。
「…どうして欲しいんだ?」
低い声が抗えない程冷たく響く。
「…っつ!!」
あたしはそれに容易く蹴落とされて勢いを無くす。
「抱かれたいのか?なら、脱げ」
なんで、
「君は俺に何を求めている?」
その突き放す様な冷たい瞳に、冷たい声に、怯んでしまったあたしはもう負けていたのかもしれない。