恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「……あの、聞いてもいいですか?」
「どうぞ」
杏子さんはあたしをじっと見ながら、つまらなそうにそう答えた。
「藍川が異端児って、どういう意味ですか?
クズだとか言ってましたけど……、あたしには、全然そんな風には見えません」
「異端児っていうのは、あくまでもヴァンパイア界でのって事よ。
王家の血を継いでいらっしゃる方が人間とのハーフだなんて、今までに前例がないからそう言われているだけ」
「……人間とのハーフ?」
「紫貴様のお母様は人間だったのよ。
……あなた、何も知らないのね。まさか紫貴様がヴァンパイアだって事も知らないとか言い出さないでよ?」
杏子さんの瞳が驚きから歪められたのを見て、首を振る。
「あ、いえ。……それは知ってます」
「そうよね。恋人同士で、血だって……ああ、そうだったわね。あなた、記憶がないのよね」