恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「……でも、非通知設定でかけてくるとか、ケータイ教えないとか、本当はずっと怪しいって思ってたんだけど……。
でも、好きだったから言えなくて……」
「あたしも……。なんか機嫌悪くするような事言えば、もう電話かけてきてくれないんじゃないかって、何も言わなかったけど……。
でも、ずっと怪しいとは思ってた……。
本当に騙されてたって事?」
どういうわけか分からないけど、険悪だった空気が疑問符に包まれていく。
完全に一触即発だった2人は、目を見合わせて眉をしかめていた。
「あの、とりあえず今日はもう帰ろうよ。暗くなってきたし、また明日きちんと……」
冷たく感じる風にそう提案した時、さっきからチラチラと目が合っていた男子生徒が話し出す。
この男子生徒も同じ学年だ。見覚えがある。
「で、俺はどーすればいいわけ?」
「あ、深山……ごめん。なんかちょっと話が食い違ってるから今日は帰って」
「えー、まじでー?! 小一時間付き合わされたのに帰れってひどくねー?
脅し役としてのバイト代くらいくれよ。2000円でいーから」
「なんでそんなに……、」
「おまえが頼んだんだろ。俺用事あったのにさー。誠意としてそんくらい支払っても全然問題ねーって」
不機嫌そうな声を出して威嚇するように話す深山くんに、女子生徒は納得いかなげに顔をしかめた。
だけど、女の子側からすれば深山くんの今の態度は恐怖を煽る。