恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
殴りかかってきてもおかしくないような態度をとる深山くん。
女子生徒は悔しそうな表情を浮かべながらもカバンに手を入れる。
「ちょっと待ってっ。お金で解決するのはあまりよくないよ。
せめて学食おごるとか、ジュースおごるとか、」
「副会長には関係ねーだろ。つーか、なんでいんの? 藍川は?」
「……藍川? なんで?」
「副会長って藍川のお気に入りだろ。いっつも藍川がガードしてんじゃん」
「は?」
「ほら、去年副会長コンビニ店員のキモ男にストーキングされてたじゃん」
……村田さんの一件は、結構周知の事実なのかな。
「あれ追い払ったの、藍川だろ?」
「え、」
「斎藤が言ってた。コンビニの裏で締め上げてたって」
「藍川が、村田さんを……?」
「そー。でも不思議な事にさ、それを見てた奴が斎藤の他にも何人もいたのに、斎藤以外誰も覚えてないんだよなー。
それにコンビニ店員も警察にも言ってねーみたいだし。気味わりーって斎藤が言ってた」
「俺はダチだからとりあえず信じてるけど」と笑った深山くんが、じりじりとこっちに近付く。