風紀委員長ミーシャの事件簿
ネミュレシスの指輪。

それはこの天空宮市に伝わる、都市伝説にも似た話だった。

数年前の天空宮学園での学内フリーマーケット。

そこで『ネミュレシスの指輪』が出品されたという噂があった。

それは、魔法宝石職人ベルリネッタ・ネミュレシスが晩年に手がけたという最後の逸品。

彼の魔力全てを注ぎ込んで作られたその指輪は、身につけた者の内なる願望を成就させる力があるといわれる。

恋愛成就、一攫千金、富と名声を思いのままにする事も可能。

しかし同時にネミュレシスは、その強力すぎる力を持つ指輪が悪人の手に渡らぬよう、贋作(ニセモノ)も数多く作って世に出回らせたという。

その為、指輪の真贋を見極めるのは非常に困難。

多くの者が血眼になって探し求め、ラインハルトさんの言う通り、既にアンダーグラウンドに売りさばかれていたものだと思われていたのだ。

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