新アニオタ王子
それでも普段通りを心掛けて
あたしは岡本の待つアパートへ向かった。
プーッ!!
アパート横の駐車場からクラクションが聞こえて様子を見ると
車の中で
あたしに手招きをしている岡本の姿が目にはいった。
「なんで車?」
不思議そうに聞いたあたしに
「服、見に行くんじゃなかったの?」
優しく笑う岡本に無条件で反応する鼓動。
そして向かったのはちょっと大きめのスーパー…
「夕飯の買い出し?」
「僕、いつもここで服を買うんだけど?」
って
スーパーの一角にちょっとしたスペースの紳士服売り場に連れて行かれたあたしは気分よく品定めをしている岡本に勢いよくツッコんだ。
「ちがーう!」
あたしの叫び声に
岡本も
店員も
他の客も
驚いた顔をして見ていた。
無理矢理岡本を車に戻し
知り合いのいる店に移動させるとその店を見て
「高そうだよ?」
と 、ちょっとビビりが入る岡本わ、無理矢理店内に押し込む。
「いらっしゃいませ」
聞き覚えのある男性店員の声に
岡本の後ろから顔を出した。
「あれ?舞夢美じゃん」
あたしの本名を知るこの店員は
実はあたしの従兄弟。
そして
あたしと岡本を見比べた従兄弟は
「彼氏…じゃないよな?」
と 恐る恐る聞いてくるから、笑ってしまった。
「んなわけないじゃん。」
「マユちゃんの知り合い?」
「うん。従兄弟の康史。」
あたしが紹介すると
二人共、深々とお辞儀をして挨拶をしあう。
「岡本がめちゃくちゃ格好よくなるコーディネート頼みたいんだけど」
あたしの無理難題に軽くオッケーサインを出した康史は岡本を連れて店内を歩き回る。