新アニオタ王子


暗がりの広い部屋の中

あいつの名前が無い携帯のアドレス帳を何度も見ていた。



そんな時


香月さんから着信がきた。



「もしもし」

『マユ?俺だ。香月だ。』

「…どうしたんですか?」

『もう、仕事決まったのか?』

「いいえ。」


あたしを雇ってくれる会社なんて…ないし。


恋人クラブでNo.1だったあたしは

風俗店以外は相手にされないんだ。


『良かった』

「なんで…良かったなわけ?」

『前に、紹介できる仕事があるって言ったの覚えてるか?』

「えっ?…ええ。」

『そこの店長から電話あって、この暮れに人手が足りなくて困ってるらしいんだ。

…働けないか?』

「あたしが…ですか?」

『そうだ。』

「どんな仕事なんですか?」




香月さんの話しによると


駅近くのペットショップらしい。


クリスマス当日に

一応、面接をしてもらえるらしいけれど他の店員の手前の肩書きばかりの面接らしい。


話しによると

店長の八代さんは厳しいけれど見た目で人を判断するような人ではないらしく

あたしはクローゼットの中にある中で一番、清楚な服を選んだ。



香月さんのせっかくの紹介で恥をかかせたくもないので、髪も黒く染めてみる。



******************


面接当日


クリスマスで賑わう街中を

イメチェンして少し地味になったあたしがイルミネーションで派手に華やぐ駅前を歩いて行くと、駅近くにあるペットショップを見つけた。

「いらっしゃいませ」

若い女性店員があたしに近づいてくる。

「すいません、あたし今日…

面接希望の能戸(のと)と申しますが…」

「あ、面接希望ですね?こちらに来て下さい。」



< 83 / 100 >

この作品をシェア

pagetop