新アニオタ王子



そして、従業員以外立ち入り禁止の紙が貼られたドアの向こうへ案内されると
事務所兼、休憩室のパイプ椅子に、ショートヘアでボーイッシュな印象を与える女性が、腕を組んであたしを待ち構えていた。


「あなたが香月の紹介の
能戸舞夢美さん?」

「は、はい。」

「私は、店長の八代よ。

どうぞそこの椅子に座ってちょうだい。」

そう言われてあたしは店長の座ってる向かいに置いてあるパイプ椅子に腰をかける。

「履歴書は?」

「持って来てます。」

急いでバックから履歴書を取り出して手渡す。


そして履歴書に軽く目を通した店長は、少し小馬鹿にするような、皮肉目いた微笑みを浮かべてあたしの顔を見つめた。

「ホントに風俗店でしか働いた事ないんだ?」

風俗店なんて

世間から見たら馬鹿にされる仕事かもしれないけど…

あたしは素直に頷いた。

「まぁ…香月の紹介だから根性はあると思うけど?

やれる?ペット販売。」

「やる気はあります。」

「あ、そ。

やる気があるなら充分よ。

ペット販売は営業だから。」

「はぁ…」

「仕事は後日教えるから、もう帰っていいわよ。」




なんていうか…

店長は厳しいっていうより
キツイ性格だと印象だけが残り、圧倒されたあたしは言われるまま立ち上がり
事務所のドアを開けた。


「能戸さん?」

突然あたしを呼び止めた店長。

ビックリして振り返ると眉間に皺を寄せてあたしの手もを指差してる店長が視界に飛び込む。


「明日、その長い爪ちゃんと切って来なさいよ。

動物が傷つくからね」

「…分かりました」

やっぱりなんか恐い。



店を出てすぐに香月さんに電話をかけた。



『もしもし?

面接どうだった?』

「…一応、受かったみたいです。」

『良かった。八代…厳しかっただろ?』

「厳しいってより性格がキツイ方ですよね…?」

『あ〜…そうかもな。』

「八代さん香月さんの事、呼びすてにしてましたけど

…仲がいいんですね?」

『ん?ああ。

あいつ、俺の離婚した奥さん。』

「えっっっ⁈」


驚きのあまり言葉を失ってしまった。





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