新アニオタ王子
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店長に言われた通り爪を短く切って迎えたバイト初日。
正直、動物の扱いなんて何もわからないあたしに昨日の女性店員の藤井さんが親切に教えてくれる。
初めてつけたエプロンの結び方さえ分からないあたしに、なんでも親切に教えてくれる。
彼女とはうん。仲良くできそうな予感。
「うちの店は犬と猫しか売ってないから」
「どの子も運命の飼い主さんと出会うまでは、従業員だけでつけてる名前があるんだよ」
「なんで、飼ってるわけじゃないのに名前をつけてるの?」
「マユちゃんは面白い
だって、お世話をするのに名前が無いと困るし
…それにみんな生きてる。
一匹、一匹が違う存在なんだから…名前があって当たり前よ」
「なるほど…。」
そう言われれば当たり前の事だけど
飼う人間はその動物に自分が初めての名前を与えると思う人も、少なくないと 思うのはあたしだけ?
まさか自分が飼ったペットに最初違う名前がついてた事を想像しながら、新しい名前を与える人は少ないだろう。
でも
名前を呼べばそれなりに愛情も湧くんだろうね。
今は
みんな同じ顔に見える犬も猫も
きっと区別がつけれる様になると藤井さんは教えてくれた。
あたしはもしかしたらスゴイ良い仕事に就いたんじゃないかと思う。
だって姿形は違っても
言葉を交わせなくても
生きてる動物達と触れ合うなんて
あたしの人生では初めての経験だ。
「あたし…頑張る!」
頑張れる気がする。
好調なスタートを踏み出したあたしには
覚える事がいっぱいありすぎて一人の淋しかった時間さえいつの間にか消え失せた。
逆に、今は時間が足りないくらい。