新アニオタ王子
「マユちゃんお疲れ様っ!
暮れで忙しいから歓迎会もしてあげれなくてごめんね。
って、店長が休憩の時に言ってたよ。
」
「そんな…
歓迎会なんてあたし、別にいいよ」
「そんな事言わないでよ。
年明け、新年会も込みだけど歓迎会やるから。
あっ…
その日は彼氏とデートの約束とかいれないでね?」
「大丈夫。あたし、彼氏なんていないから」
「嘘でしょっ⁈」
目を丸くする藤井さんにあたしは苦笑いを返す。
そんな嘘をつく意味なんて無いじゃん。
「複数の彼氏がいてもおかしくないくらい可愛いのに…」
冗談も交えて、それでも驚いてる藤井さんに、あたし可愛いからそう思われることもよくあるけど。なんて本音は言えない。
「そんなことないよ」と謙虚に返しておいた。
「そういえば明日、新しい子犬二匹くるから一匹、名前考えておいてね」
「名前?あたしがつけるの?」
「そう。マユちゃんの考える名前、楽しみにしてるわ」
突然の提案に、仕事が終わってからも頭の中が真っ白だった。
名前?
あたしがつけるの?
いきなりすぎよ。
生き物に名前なんて…どうしていいかわかんない。
でも…凄いかも。
あたしが生き物に名前を与えるなんて…。
凄い事じゃん。
本屋にでも行って赤ちゃんの名前図鑑でも買う?
でも
人間の名前なんておかしいか?
そんな重大な任務もらえるなんて…凄いことだ。
今夜、眠れないよ。
風呂に入ってても
考え続けるあたし。
ベッドに潜り込んでも、頭の中で色んな名前を浮かべてた。
楽しい気分で考えていると携帯の着信ランプが点滅してすぐに消える。
登録のない番号からの
不在着信。
誰かな。もしかしたらいつかの男の中の誰かかもしんない。
そう思って迷わず削除。
またベッドに潜り
名前を
試行錯誤する。
「タマ…は猫だよね。
マツさん?…人名だよね。
マサ…マサト…
…
…」
やだな。
地雷…踏んじゃった気分…
あたしバカだ。
最悪だ。
あいつの名前を浮かべてしまうなんて…
淋しくなるじゃん。
あたしのバカ…。