新アニオタ王子

たかが紙きれ一枚。

だけどとっても大切な紙きれ。

こんなレシート1枚が離れていたはずのあたしと奴の距離を一気にこんなにも近付けてくれた。

最高の紙きれだよ。



「でもなんで右手の薬指?」

「恋人がいますっていう印だって

康史さんが教えてくれた。

…左手は結婚の時まで待ってよ」

「そっか…そうなんだ…」

恋人の印か…。



やっと

徐々に嬉しい気持ちが込み湧き上がる。


「ねえ、明日買う指輪。」

「うん?」

「左手用にしてよ」

「えっ?!」



「だってあたし待てないし

…もう、あんたと離れたくなんかないよ。」

あたしの言葉に照れ笑いした岡本は

そっとあたしを優しく抱きしめてくれる。


ねえ

それはYESって捉えてもいいんだよね?



あたしは

少し顔を上げて目を閉じた。

やっとちゃんと触れられる。


そう思ったのに

突然

彼はあたしから離れる。



えっ?



絶対キスするシーンだったよね?



「マユちゃんDVD観よ。」


えっ?

何それ?

もうちょっと

「空気読めよ…」

呟いたあたしの声に

彼は気付かないでテレビの電源をいれる。




腹が立つけど仕方ない。

あたしも彼の隣に座った。


「もしかしてまた元カノの?」

「んなわけないじゃん」

「じゃあ何?

再生するまえに教えて。」

「マホリンの新作映画だよ」

はっ?

マホリン?!

「大好きなマユちゃんに僕の大切なもの見せたくて。

きっとマユちゃんもハマるよ?」

岡本がリモコンのボタンを押すと、軽快なオープニング曲が流れた。


マジで?

これ

あたしも観なきゃいけないわけ?

本当にキモいんですけど…。

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