新アニオタ王子


「…僕がオタクを飼ったらだめかな…?」

「えっ…?」

「君がせっかく僕を想ってつけてくれた名前の子犬なら…

僕は絶対に大切にするから…」

その言葉に少し戸惑うあたし。



だって

オタクを飼ってくれるのが岡本ならあたしは幸せだけど

だけど…

もう毎日オタクに会えなくなっちゃう。



「オタクと離れるのが淋しい?」

「…うん」

「それなら毎日、僕の家に遊びに来ればいいじゃん。」



「あたし大変じゃん。

疲れてる時だってあるし…」

「…そうだよね」


そう言うと

財布から一枚のレシートを取りだし、細長くおり始める。

「こんな話しの時に何やってんのよ。」


「右手、出して。」

…なんで右手?

言われるまま右手を差し出すと

「明日、ちゃんと買いに行くから」

そう言って

細長く折ったレシートを

あたしの右手の薬指に結んだ。



「僕と結婚を前提に付き合ってもらえない…かな?」

「へっ…?」


あまりにも突然なプロポーズに

喜ぶより先に驚いてしまった。


「もしかして…

これ、指輪のつもり?」

「そ、そうだけど?」

「ヤバイ。ダサいよ…?」

「だから明日、買いに行くって最初に言っただろ?」

「うん。

でも全然いい。」

「えっ?」

レシートの一枚のみすぼらしい指輪。


世の中

紙きれ一枚で

結婚だって離婚だって大切な事を決めれちゃうんだから。


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