アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
音羽さんの仕事は
幼稚園にまだ通わせられない
音色ちゃんと夜まで一緒にいて

音色ちゃんを寝かせてから
朝の6時まで働いて
起きる前に帰ってくるという
そんな毎日だった。


「起きない時は目が覚めたら
ママが『おはよう』って言ってくれるから
寂しくなかったけど
夜目が覚めたら、ママがいないから
怖くていつも我慢してたの。
起きないようにってお願いしたら
目が覚めて……
でも…ママが頑張ってるから
ずっと我慢したんだけど……」


音色ちゃんは泣きじゃくりながら
説明してくれた。


「ママがね…具合悪そうなの…
おくすり飲んでねって言ったけど
おじちゃまの病院の薬がもうないから
もらいにいかなきゃって
でも…音色電話番号わかんないから…
ママがお仕事に行ったあとに
お家を出て行ったの……」


「母親のカンってやつかな~
音羽さん気になって
もう一度戻ってきたらしくて
そこでいないのわかったみたいだよ。」


恭平が説明した。


「おじいちゃまのおうちに行ったら
おじちゃまに会えるって思って。」


可愛いバックから
広告を出して開いた。


「おうちのちかくにある
大きなお店の名前と住所ね・・・・。」


千円を出した。


「途中からねお店までタクシー乗るから
なるべく歩いてから乗ろうと思って……」



甲斐の目から涙が
零れ落ちた・・・・・・。


「でもほんとは
お薬をもらう時
おじちゃまに会いたかったの・・・」
音色ちゃんが甲斐に抱きついた。
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