アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
「あの夜ね
実は二人の会話を聞いてたの…。
とっくに恵太さんと
同じ意見だったけど…
二人に真剣さが伝わってきたわ。
だから恭平が一人立ちするなら
私が二人を応援して
これから見守っていこうって
思ってるの。」


「かあさん・・・」

「大事な宝物が幸せだって言ってくれるなら
それが一番の
親への恩返しだからね。
私は恭平の父親も恵太さんも
愛する人と最後までそえずに
終わってしまったけれど
その時その時
本当に深く愛されていたって
それが私の自慢なの。
だから二人にも
そんな人生を歩んでほしいわ。」


私の目から涙が溢れだした。


「恭平の仕事がやっと決まって
これからどうなるのか
まだ先が見えないから
メグちゃんがしっかり見守ってほしいわ。
いい?
こんな息子だけど…
よろしくお願いします。」


奈々さんが頭をさげた。

「私の方こそ・・・・
これからもよろしくおねがいします。」

奈々さんと顔を見合わせて
クスクス笑った。


「恭平!!しっかりしなさいよ。
一日も早く仕事軌道に乗せないと
メグちゃんみたいな美人さんは
誰かにとられてしまうからね。」


「やめろよ・・・
プレッシャーかけるな~」



「じゃ…私は家で恵太さんと
祝杯をあげるから・・・・・。
いってらっしゃい。
記念に残る一日にしてらっしゃいね。」



「ありがとかあさん・・・
俺 かあさんの子でよかったって
ずっと思ってたよ。
これから先も変わらないよ。」


奈々さんは恭平の頭を優しく撫ぜた。


「あんたは私の宝物だよ」
そう言うと桜の花びらの中に消えて行った。
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