みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部
歪み
歪んだ笑みを浮かべている。
最後に会った、夜中のあの時と同じ
「何をしにきたのです?」
藤咲さんは言った。
あたしは、松永さんの顔が見れなかった。
怖かった。
さっきまでの余裕がすっかり消え失せた。
「あなたこそ、何をしているんです?」
松永さんが言った。
「…あなたに連絡を取ろうとしていたのですよ。あなたがあおい様に連絡先のメモを渡したそうで」
「いやっ、ひ、拾って…」
藤咲さんの冷静な対応に、あおいは聞き流しそうになり、慌てて言った。
「で、その連絡先には誰がでたんだ?」
松永さんが言った。鋭く、見透かすような瞳は笑っていない。
「あなたが前勤めていたお屋敷の家政婦さんですよ」
「そうか……」
松永さんの瞳が大きくなった。
「松永。私達を使ったのですね」
「依鶴はいなかったのか?」
「分かりません。松永――」
「もう一度掛けろ!」
松永さんが声を上げて遮った。
…なんて人なの。あおいは思った。
「なぜあなたの命令をきかなくてはならないのですか」
藤咲さんの声は冷え切っていた。