みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部
「ああ、そうだな。その通りだな藤咲…」
松永さんは今度は悲しげに肩を竦める。
松永さんは、依鶴っていうお嬢様に伝えたいことがだろうか。
松永さんに振り向いてもらえず、松永さんとその家政婦さんを引き離すように追放させたお嬢様…。
「松永、あなたは真っ直ぐに未来を見据えることができないのか。過去をその瞳にうつしたまま明日を見据えるのは終わりにしよう。出来るはずだ、松永」
藤咲さんの口調は、友人に語り掛けるような柔らかさがあった。
松永さんは、目を閉じたまま、ゆっくり首を振った。
「………依鶴は、俺に会いに来るんだ…」
掠れた声だ。
「俺の心に会いに来るんだ…………、藤咲」
藤咲さんは顔を顰めている。
「ねえ、あおいちゃん……もうすぐ一週間が経つね。さくらの木に埋められてないね。だから仕方ないね……」
あたしの頭のなかで、低い、雷のような音が響き渡った。
咄嗟の勢いで、あおいはケータイを手に持つ。
「警察に通報して、あなたを捕まえるわ」