みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部
負けるか。
お母さん。お父さん。 綾。
「あおいちゃん… 君を人質にするつもりだったけどまさかとおもったよ……。君が今手を動かしたら……」
松永さんは、ゆっくりと藤咲さんに目を向けた。
「どうするつもりだ?」
藤咲さんの口調は強い。
藤咲さんになにかするの。
「………っ!」
あたしは動けなかった。
「そうだ。それでいい」
「あおい様は関係の無いことでしょう、松永。依鶴様がまだ仕掛けてくるのか?」
藤咲さんは鋭く言った。
「……………」
松永さんは、なにか痛いものが刺さったような顔をした。
瞬きをせず
ただこめかみから汗を流して
髪を乱して
松永さんは歪んでいた。
そう…彼を歪ませたのは、依鶴ってお嬢様。
そういうことなんだ。
だから依鶴と同じ身の上のあたしを嫌う。
でも、藤咲さんは?
藤咲さんは関係ないじゃない。
どっちかって言うと、あたしより藤咲さんのほうを嫌ってる気がする。