みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部
不意に声がした。
女の子らしい、かわいらしい声……
日本人の言葉。
あおいは声のほうを見た。
女の子がいる。
黒いストレートの長い髪
ふわふわした短めのワンピースを着て。
色白で、つけまつげをしたお人形みたいに 品のある顔立ち。
まるで、
お嬢様のような。
まさか。
松永さんが彼女の存在に気付くと、声を失った。
呼吸を止められたように
喉をひゅうひゅうと鳴らした。
「…は……は…、い…いづる」
松永さんは呟いた。
依鶴は 口角を広げた。
「会いたかったわ。紡郎」
松永さんは、退いた。
あおいも、彼女を怖く感じた。
誰かに、 似ていたから。
この感じ――。
「ぃ、い、依鶴………」
「ねえ紡郎?この女と執事は誰?もしかして噂の新入り?」
依鶴の大きな目が こっちを向いた。
「なんて名前?年齢は?」
ずけずけと来る。
「平野あおいです…じ、17…」
「あらあ、年下ね。わたし19。年上かと思った。だって…その格好……」
あおいをじろじろと見た。
「まあ、こんな地味っ子、紡郎の目に入らないわよねえ。あらそんな顔しないでよ、感じ悪い」