みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部


依鶴があたしを物色している間、その隙に松永さんは逃げ出した。


依鶴は気付いて松永さんを目で追い、くすりと笑った。


藤咲さんが、あおいに近寄る。

「あら… ずいぶんのエリートさんがついているのね。あなた、それに釣り合うような身嗜みを気にしなさいよ」



彼女の、完璧な化粧。真っ赤な口紅が目につく。


「………はい…」


「自分に自信がないようね。わたしがしてあげるわ。ねえ今時間あるかしら。こんな場所にあるんだもの、あるわよね。お家に遊びにきなさいよ」


「えっ…」


「あっ、執事は駄目よ。女子だけ」


…咄嗟に思う。

い き た く な い 。


どうしよう。


松永さんを追放して 歪ませた、彼女の家なんて。

みるからに性格悪そうでしょ。

「いいでしょう。あなたを磨いてあげようっていうのよ、このわたしが」


「…あ あの……じ、じゃあ…」


依鶴は、あおいの腕をがしっと掴んだ。


「っ!」


あおいは反射的に藤咲さんを見た。


た 助けて…!

でも さすがにお嬢様より身分の低い執事の藤咲さんには、どうしようも出来ないだろう。
相手も相手だ。

藤咲さんは笑顔を作り、

「では あおい様、日暮れの5時に迎えに参ります」

そう言った。
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