みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部
帰りの車内。
「藤咲さん、また行きましょうね」
「ええ」
藤咲さんは微笑んだ。
あおいは内心まだ照れ臭くて、へへ と笑った。
そんなとき、携帯電話が鳴った。
「え?誰だろう?」
お母さんかな?
また屋敷でなにかあったのかな…。
しかし開くと、綾からの電話だった。
「綾だ…」
「前におっしゃっていたお友達ですね」
藤咲さんが言った。
あおいは頷き、電話に出た。
「もしもし、綾?どうしたの?」
〔あおい?ねぇ、あおい今フランスよね?〕
「そうだけど…なに?」
〔あたしさあ!〕
綾の声が興奮気味におっきくなり、あおいは少し、耳から携帯を離した。
〔近所のガラガラで、海外旅行が当たったの!その行き先にフランスがあってさあ!〕
「えっ!?」
あおいは目を丸くした。
〔それで、今ちょうど学校連休なわけ。だから池野くん誘って今からフランス行こうと思ってるんだけどー〕
「えええっ!!?い、いけ、池野くんまで来るの?!うそでしょ!」
〔大丈夫っ、これを機に、あたしが上手くやってあげるから!〕
う……うそ。
どうしよう…!
〔あおいのフランスの豪邸、楽しみ!池野くんもかなり気になってるし〕
「あ、綾… 、あたしさ…」
今更、言えるわけない。
あたし、今、池野くんより
藤咲さんにドキドキしてるんだ。
「綾だけでいいよ」
〔まったぁ、あおいはオクテなんだからっ!2年も想ってたんでしょ、前のリベンジよ!頑張って!〕
「ぅあ~~」
あおいは呻き、赤面しながら、頭をぼりぼりかいた。
「…いつ来るの?」
〔明後日かな!〕
ええええええっ!!
「早いよお!」
あおいは携帯に向かって叫んだ。