みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部
もしかしたら、藤咲さんも屋敷掃除をしていたのかもしれない。
しかし、そうではなかった。
「疲れてはいませんよ。ただ――考えているのです」
「考え?」
藤咲さんは頷いた。
「今日、私は屋敷を離れさせていただきます。松永の屋敷から私に連絡が入りました。話があるようで――」
話?
松永さんの屋敷…?
「私も、松永の様子を伺いたいと思います。あおい様が屋敷でお友達と時間を過ごすこの時はきっと、私がいなくても大丈夫でしょう…宜しいでしょうか」
藤咲さんの目の奥に、心の閃光が光った。
松永さんの屋敷。
つまりは、あの屋敷だ。
長い睫毛のお人形のような彼女と対話した――。
藤咲さんなら…無事に戻って来てくれるはず。
彼の目の奥の光に、あおいはそうとしか思えなかった。
「藤咲さん――気をつけてくださいね…」
あおいは言った。彼の手を掴んでいたかったけど、そんなこと出来るはずがなかった。
「ありがとうございます。出来る限り、早くもどりますから」
藤咲さんは微笑んだ。
「うん…分かった」
あおいも微笑んだ。想いを内に秘めながら。
大丈夫、依鶴なんかが、絶対に藤咲さんに手を出せない――。