【妖短】 カ ミ カ ク シ
大蛇‐生贄ヲ捧ゲシ村‐
今から五百年ほど前。
時は戦乱の世。

火薬と腐敗した死体の臭いが充満し、裏切り、騙し、殺し………。
そんな事が当たり前――常識に成りつつあった時代にて。


戦の影響か、貧しい村がちらほらと現れ始めたのでございます。
戦の為に食べ物は尽き果て、追い撃ちを掛けるかの様に飢饉が続き、死に逝く人々を見ながら村は廃れて行くのでございました。


そんな村が増える中でとある村で奇跡と言う名の事件が起こりました。

始まりは一人の男の言葉でした。

『我等の神が御居する祠に贄を捧げよう』

―――――――――――――と。

それからの村人の動きは早ようございました。
村の中で年頃の純潔―処女―の娘を選び祠に縛り付け逃げないようにして贄にしたのでございました。

それから一月の間は雨が降り村が潤いました。
しかし二月が近くなると雨は降ら無くなったのでございます。

村人はまた年頃の純潔―処女―の娘を同じ様にして贄に致したのでした。
それから一月毎に贄として娘を捧げたのでした。


しかし何時しか年頃の純潔―処女―の娘はいなくなり、村は消えたのでした。
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