【妖短】 カ ミ カ ク シ
伝承‐今ト昔ノ繋ガリ‐
眉間にしわを寄せ、仁兄は言う。
紗羅姉が見せてくれたのは、都市伝説が一覧になっているサイトだ。

「んだよ・・・・・・行き成り呼び出されたと思ったらこれかよ」

話にならんというように(実際そうだが)手をぱたぱたと振り、仁兄は腰を上げようとした。
しかし、それを俺が止めた。

「ちょっ・・・・・・!!仁兄!これって・・・・・・・・・・・・」

何気なく向けたパソコンの画面。そこで目に付いた一つの都市伝説。
――――――――――――〝神隠し〟
俺は紗羅姉からマウスを奪い、そこをクリックした。
―――――『神隠し』
古くからある都市伝説の代表。
地域によっては様々ではあるが、天狗や隠し神と言った仕業であると言う説が多い。
だが、飢饉や天災に見舞われた時に子供を生贄にする為に他家から攫ったりもしていたようだ。俗に、それも神隠しと言う。


「・・・・・・これが何だって言うんだよ」

「ここにある、〝子供を生贄にする為に他家から攫ったり〟って所、今の事件に似てな
い?現代では災害の為に生贄なんて捧げないけどさ」

「馬鹿か、お前は。行方不明なんだぞ?仮に攫ったとして、どうやって攫う?目撃証言ではふらっと一人で歩いたんだ」

これは、カンだった。
確かに仁兄の言うとおりだったが、何か足りない。

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