弱いあたし


「お前も1人かい?あたしも1人なんだぁ」

猫を膝の上に置いて頭を撫でる。

「お前はいいよなぁ。可愛いから他の人に餌貰えてさ」

「みゃぁ」

「ははっ。可愛い」

時計を見るともう12時。

「あーお腹すいた。給食食べて帰ればよかった」

「奈緒、何してんの?学校は?」

ふと顔を上げると凪斗が立っていた。

「・・・」

あたしは猫をベンチに置いて歩き出す。

「ちょっ、待てって」

凪斗はあたしの手を握る。

「やめてっ」

その手を振り払う。

こんなとこ、誰かに見られたら凪斗まで・・・。

「絶対離さねえからな」

「・・・」

「よし、分かった。こっち来い」

「ちょっ・・・」

手を握られたまま、歩き出す。

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