愛し君へ…
第一章

***


「……竜、もう別れよう」




ひらひらと花びらの舞う桜の木の下。

俺に背を向けたまま、
響はそう言った。


突然の出来事に、俺は耳を疑った。




「ちょっ…ちょっと待てよ!!

いきなり何でっ…」



「…いきなりじゃない。
ずっと前から…考えてたの」



「そんな…!」




俺は響に近づこうと、一歩踏み出した。




「…っ来ないで」




だけど響は、小さくこうつぶやいた。




「……来ないで…お願い…」





そして気付いた。
響の声が、肩が…震えていることに。


俺はもう一度、響に問いかけた。




「…何で?

何で、いきなり別れるなんて…」




俺の言葉を聞いて、響はやっと俺の方を向き直した。
そして悲しそうな、寂しそうな表情のままつぶやいた。


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