愛し君へ…


響は…こんなに弱かったっけ?


いや、違うだろ?

響は、強かったんじゃない。
響は、弱くなかったわけじゃない。



……耐えていたんだ、ずっと。


―――ずっと一人で、背負い続けて来たんだ…





全部俺のために。


俺を、悲しませないため。
俺を、苦しませないため。
俺を、幸せにするため。



こんなにも細くて小さな身体で、こんなにも大きな事を抱えてたんだ……


俺はさらに強く、響を抱きしめた。




「竜っ……


まだ…死にたくないっ…!!
まだ…生きたいよ…!」



「……っ…!」




泣き続ける響に、俺は何もしてあげる事が出来なかった。


俺はただ…
響を強く、抱きしめている事しか出来なかったんだ……



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