愛し君へ…


カサッ…



「なに…?」




耳元で音がして、俺は少し起き上がった。

部屋には何もなく、カーテンが風でヒラヒラと舞っている。
そしてカーテンが壁に当たるたびに、カサカサという音が聞こえる。


俺はそっと、カーテンを捲ってみた。





「……あ」




カーテンの裾の裏に挟まっている紙。
気になった俺は、その紙をそこから引き抜いた。

入っていたのは…少し折れ曲がった封筒。
桜の木にあったのと同じ…




「もしかして響、なのか…?」




いや、絶対響だ…!

俺は震える手で、急いでその封筒を開けた。


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