愛し君へ…


黙って聞いていた響のお祖母さんは、そんな俺の問いかけにゆっくりと口を開いた。





「ねえ、竜くん、だったかしら?



あなたは響ちゃんと付き合って、一緒に過ごした時間…

幸せでしたか?」





俺は顔を上げ、お祖母さんの目を見て答えた。





「……すごく、すごく幸せでした」





お祖母さんはニコッと微笑んだ。





「じゃあ響ちゃんも、きっと幸せだったはずよ?」



「…え…?」





お祖母さんはゆっくりと話し始めた。





「幸せってね、
一人じゃ絶対に感じる事が出来ないの。


一緒にいる相手がいて、好きだって思う相手と過ごして、

そこで“幸せ”って言う気持ちは創られるの。


お互いがお互いを、『幸せにしたい』って思うほどに強く…




だから、あなたが幸せなら響ちゃんも…きっと幸せだったはずよ?」


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