愛し君へ…
第六章


「…そう、なのかな。
響は、幸せだったのかな…?」





お祖母さんは振り返り、優しい笑顔で言った。





「…ええ、きっとね」





俺の表情も、いつの間にか笑顔になっていた。

お祖母さんに別れを告げ、もう一度響のお墓に手を合わせる。





「響、今日やっと来れたんだよ。

ずいぶん時間かかっちゃったけど、ちゃんと響との約束守れそうだよ」





俺は目を閉じて、ふと思い出した。
あの頃の約束を。




『あたしは、もし生まれ変わっても…また、竜の彼女になりたいな」



『…何回でも彼女にしてやるよ』




そんな、軽い口約束。




“生まれ変わっても彼女にして、なんて…忘れて?”




……忘れない。
俺はこんなにも愛した人を、君の事を――――――絶対に。


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