幕末〓冷血の鬼

土方side

「お帰りなさい。あれ?恋花さんは?」


屯所に着き、総司の声で俺は我に返った。

後ろを見るが恋花の来る様子が無い。


(しまった…)


あれほど離れない様に手を繋いでたのに、手を離してしまいしかも、置いてきてしまった。


「土方さんが冷静じゃないって珍しいですね。」


「何が珍しいんだ?」


通り過ぎようとした平助が首を傾げて聞いてきた。


「土方さんが、冷静じゃないのは珍しいですねって言ったんです。」


総司はクスクス笑うが笑い事じゃねえ。


日も暮れてきて、しかも恋花が屯所までの道を覚えてるとは思えねえ。
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