幕末〓冷血の鬼
第六幕

分離

桜が散り暑い夏が過ぎて秋になると伊東は隊を分離したいと言いやがった。


「近藤さん、土方さん。私達は幕府のための節義をつくし御陵衛士の約名を拝命するために隊を分離したいと考えていますの。」


伊東の言葉に近藤さんは目を丸くした。


「待ってくれ、伊東先生。何故急にそんなことを?」


「急ではなくてよ。近藤さん。私、山南さんが処刑されてからこの事を考えていましたの。」


「そんな前から………」


「ええ。あんなに才の優れた方を処刑するのを見て、本当にこれで良いのか不安になりましたのよ。」


伊東はわざとらしく大きなため息をつくと、俺の方を見てきた。
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