幕末〓冷血の鬼
「坂本さんに、私が十五歳だった時にお相手をして頂いた事があるのです。」


「龍馬さんにですか?」


「はい。私は出稽古で坂本さんと竹刀を交えたのですが……。」


「どうだったんですか?」


「見事負けてしまいました。しかも坂本さんは手加減をしていたらしく最後の方に小手を打たせてくれたんです。」


「龍馬さんらしいですね。」


「はい。稽古が終わると坂本さんは私に笑顔を向けてきました。」


『こりゃかなわんぜよ。あと何年かたったらおまんさんに勝つ自信が無いきに。』


「そう言って笑った顔が近藤さんの笑顔と似ていて私まで笑顔になってしまいました。」
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