幕末〓冷血の鬼

寝顔

「失礼します。」


小声そう言って近藤さんの部屋に入ると寝たまま近藤さんは私の方を向いた。


「おお、恋花君。」


「近藤さん、起きてたんですね。」


「ああ、恋花君と歳のおかげで少し熱が下がったようでだいぶ楽になったよ。」


「それは良かったです。………土方さん?」


近藤さんの隣で胡座をかいている土方さんに声をかけたが返事がない。


「歳は俺の世話や仕事で疲れてたみたいだな。俺が起きた時には隣で寝ていたよ。」

「そうだったんですか。土方さんのこんなに落ち着いた顔初めて見ました。」


いつも眉間にシワを寄せ渋い顔をしている土方さんだが、今近藤さんの傍で眠っている土方さんは眉間にシワはなく、どことなく幼い顔をしている。
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