幕末〓冷血の鬼
「近藤さん、決まりしだい大阪を出るつもりだ。だからそれまでゆっくり休んでいてくれ。」


「ああ。」


俺は総司をおぶったまま総司の部屋に向かった。


「総司、お前ろくに飯食ってねえだろ?」

「食べてますよ。」


布団に総司を降ろし聞くと総司は笑顔で言ってきた。


(こいつは辛い時も笑顔で言いやがる。)

それは自分の弱みを見せない為だろう。


「無理に笑うな。食ってないんだろ?」


俺がもう一度聞くと総司は俯いてしまった。


「食べてはいます。ですがすぐに戻ってしまって………。私、本当に治るのでしょうか?こんなに……弱い体になってしまって。」


泣いているのか総司の肩は小刻みに震えている。


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