幕末〓冷血の鬼
「俺、鬼になるよ。」


俺の言葉に近藤さんは目を見開いた。


「何を言っているんだ?」


「もう迷わねえ。守りたい物の為なら心を鬼にして他の奴らに恐れられても守ってみせる。」


俺はそう言って苗を見た。


(もう…こんな思いはしたくねえ。)


俺がそう言うと近藤さんは頭を下げた。


「すまないな、歳。お菊さんの話は、おそらく本当だ。1年前、俺は酒で酔って俺に襲ってきた男を殺した。その人がお菊さん達の親父さんだったのだろう。巻き込んで、歳にこんな思いさせて本当にすまない。」


近藤さんはそう言うとまた頭を下げた。
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