幕末〓冷血の鬼
「ごめんな…。俺がもっと早くに刀を抜いていれば……。」


「てめえもすぐこのガキの所に送ってやるよ。」


俺は刀を握り直し男に向けて構えた。


もう手は震えない。


今あるのは恐怖ではなく、怒りだった。


「てめえだけは……てめえだけはぜってえ許さねえ!!」


俺は刀を振り落とし男を斬った。


近藤さんの方も終わったらしく、俺の方へ走って来た。


「歳!!無事か?」


「ああ。こいつが守ってくれた。」


苗はもう息をしていなかった。


(俺のせいだ……俺が刀を抜くのを迷ってしまったから………。)


「かっちゃん……。」


「何だ歳?」

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