幕末〓冷血の鬼
「なあ歳、今日は遊郭に止まらぬか?」


新宿に着くと近藤さんがそう言って来た。


「遊郭だと?近藤さん、俺達はこれから戦に行くんだぞ!」


「だからだよ、歳…。」


近藤さんの真剣な目を見て俺はそれ以上何も言えなかった。


「土方さん……私。」


恋花は遊郭に入りたくないのか心配そうに俺の顔を見てきた。


「わかったよ、近藤さん。だが俺と恋花は、別の宿をとる。」


俺の言葉に恋花は目を丸くした。


「良いのか?歳。」


「ああ、近藤さん達は楽しくやってくれ。恋花行くぞ。」


俺がそう言って恋花の手を引くと恋花は近藤さん達にペコッと頭を下げた後、俺について来た。
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