ありのままのあなたでいい
第5章 人生への復帰

ダンスセラピーとの出会い

失ったものを数えると、きりがありません。
取り戻すためには、小さなチャレンジをして、
小さな成功体験を積み重ねるしかありません。


仕事、食べること、買い物ができること、
食事を作ること、
子どもとコミュニケーションが取れること・・・


そして、何より「自分」を感じたのは、
ダンスセラピーを受けた時でした。


自分で「踊る保健師」と名乗るのは意味があって、
私は、小さい頃からダンスが大好き。 
趣味が高じて、30半ばで
エアロビクスのインストラクターの
資格を取ったほどでした。

 
健康教育の中で、歌やダンスを取り入れて、
自分なりのスタイルを持っていました。

でも、いつの間にか、
仕事のためのダンスになっていた・・・
教えるためのダンスになっていた・・・



不思議なことに、
仕事も家事も何もかもできなくなっていたのに、
精神科のデイケアのダンス教室と、
聴覚障がいの人向けの
手話を取り入れたダンス教室だけは
続けていたのです。



ダンスセラピーに出会ったその日も、
アメリカでは、精神科の治療法のひとつとして、
ダンスセラピーという分野が
確立できているという情報を知り、
情報収集のつもりで、
日本で実践している
数少ないダンスセラピストのセラピーを
受けにいったのです。



ところが・・・
そこで私は忘れもしない衝撃的な体験に
遭遇したのです。 


「めちゃくちゃ楽しい」のです。
踊りながら、いつの間にか笑っている自分に
気づきました。



ここ2年ほど、たぶん・・・
こんなに楽しくて、
こんなに笑った日は久しぶりでした。



「元気」は「楽しい」に釣られてやってくる・・・
私にとっての「楽しい」は踊ること、
表現することだったのです。
何で、こんなことまで
忘れてしまっていたのでしょう・・・
全く、うつ病という病気は・・・
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