【番外編】ご主人様は†ヴァンパイア†
茜は今にも泣きそうな顔でオロオロと蹴られ続ける俺を見ていた。


……バカやろう。逃げろって言ったのに。


逃げて、警察呼んで来い! と言いたかったが、もう声さえ出なかった。


機転をきかせて、誰かに助けを求めに行くなんてことも、バカな茜には考えもつかないのだろう。


動かなくなった俺に、興味がなくなったのか、ヤンキー達の目線は茜に向けられた。



想像もしたくない残虐なことを奴らは考えているのか。



ヤンキー達はいやらしい目つきで茜を取り囲んだ。



「や……やだ……」



茜の瞳からはポロポロと涙が零れていた。



バカ茜……なんで逃げなかったんだよ……
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