【番外編】ご主人様は†ヴァンパイア†
ヤンキーの手が、茜の肩に触れる。


「大丈夫、騒がなければ優しくするから」


茜は大きな瞳から涙を零し、震える身体で絶句していた。



「……わん…な」



「あ?」ヤンキー達は、小さく漏らした声の主である俺を振り返った。



「茜に触んなって言っただろ!」


唇が痛い。声を出すと、砂と血の味でめちゃくちゃだ。



「まだ喋る元気が残ってたのか。お前はそこで大人しく彼女がヤラれてる姿を見学してろ!」



ヤンキーの一人が地面を蹴ると、大量の砂が頭に降ってきた。



……ふざけんじゃねぇよ。



茜が犯されるくらいだったら、俺が死んだ方がマシだ。



フツフツと込み上がってくる怒りを感じた。そして、怒りの他の『何か』が込み上がってくるのも……
< 21 / 37 >

この作品をシェア

pagetop