君のそばに

「そんなのどーでもいいよね。
あ〜…何で女っていう生き物はこんなにうるさいんだろ!」


ひとつため息をついて、周りに聞こえるくらいの大声で柚は言った。
その顔はすごい迷惑そうだった。


でも女子は嘉賀くんトークに花が咲いていて、柚の声は耳に入らないようだ。



柚はそれに向かって軽く舌打ちして前に向き直った。






そして順番はついに嘉賀くんに回ってきた。


嘉賀くんの名前が呼ばれただけなのにこの歓声…。


私はいつかの下絵事件のコンサートホール状態になった時の事を思い出した。


あの時よりも人数がすごいせいか、かなりの迫力だった。



「すごい…千春くんファンの数。去年よりもすごいかも…。」


さすがの柚さんもア然としていた。




嘉賀くんが走り出して、紙を拾い上げた。

この時ばかりは周囲の女子は静かにしていた。
紙に書いてあるお題が気になるのだろう…。


ずっとそのままでいてくれたらいいのに…。

私はふとそう思った。



嘉賀くんは拾い上げた紙をじーっと見つめて、その場でキョロキョロした。

どうやら当て嵌まる人(あるいは物)を探しているようだ。



「何だったのかな〜…」

みんなが集中する中、小さく声が洩れた。


しかし誰からも返事がなかった。



その緊張した空間に影響されてか、私も段々緊張してきた。



何で、私が緊張しなきゃいけないんだろう…。

する意味がないよね。



そう思いながらも、私のドキドキのペースは早まっていく…。


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