君のそばに
柚から聞いた話だと、柚は最初からパン食い競走狙いだったと言う。
何故かというとさすが金持ち校なだけに、パン食い競走で使われるパンは超有名ホテルの一日限定50個のパンだそうだ。
その味は発売2時間で売り切れてしまうほど美味らしい…。
それを早く言ってよ、柚…。
そしたら考え直したかもしれないのに…。
私は下書きの作業をしながら、そんな事を思っていた。
すると入口付近で歓声が湧いた。
何だ?
後ろを振り向くと、そこにいたのは
嘉賀くんだった…
ていうか、何この歓声…
どこぞのアイドルでも来たのかと思ったよ。
嘉賀くんは周囲がいくら沸き立てても何も感じないのか、ニコリともしない。
何でここに嘉賀くんがいるわけ?
ていうか何で嘉賀くんがこんなに人気なの?
嘉賀くんは誰かを探しているのか、キョロキョロと部屋全体に視線を走らせる。