君のそばに


次の日から本格的に体育祭の準備が始まった。



我が美術部も体育祭に向けて、ようやく前進しはじめた。


美術室に隣接している100人は入るであろうその部屋に美術部員全員が集まった。

美術部は32人という数の生徒が集まって成り立っている。

いくら100人は入るといっても、これだけの人数がそれぞれに必要な物を持参すれば、流石に窮屈だと感じる。



今回の体育祭のテーマについては私が風邪で休んでいる時に、部長を中心に決定されていたようだ。


テーマ内容は『敵も味方も双方全力を尽くせ!』である。


皆はその部屋で縦横5メートルある板を部屋の中央に置き、それを囲うように座っている。
部員たちは板にそれぞれのチームカラーを見に纏い、応援している生徒たちの絵

の下書きを行っている所だ。


その指示を行うのはやはり部長で、部員たちからの質問に対して見事なまでに対応している。

が、30余名もいる部員たちをまとめるのはさすがに大変そうだ。


ついでに言うと、それぞれのチームを応援している生徒のモデルの一人に、何故か私が選ばれていたのである。


何で、私がっ!?


私がそう言うと部長は

期待の星である君がモデルにならず、誰がなるのかな?

と、あのニコニコ顔で言った。


あ〜…やっぱり私、部長のこの笑顔には逆らえない…。

『期待の星』って呼ばれるのは、そう嫌じゃない(ていうか結構舞い上がってたりする)。でもこれは別だろ。


部長の笑顔には清水さんのそれとは違う威圧的なものを感じる。

きっと部長に逆らえないのは私だけじゃない。
ていうか、そんな人はいないと思う。

いたらお目にかかりたいよ…。


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