君への距離~クリスマスの奇跡~
「じゃあ俺らもいこか?」
「うん☆」
リサは幸せそうに笑って立ち上がる。
さりげなくリサの荷物を持って、シオは助手席のドアを開ける。
ボーっとして舞い上がるリサにシオがニヤッと笑う。
「ボーっとしてると持ち逃げられるで?」
リサがくすっと笑う。
リサが乗りこみ、シオが運転席に回りこむために車のバックを歩く。
ふっとシオがある方向を見て立ち止まる。
リサにはすぐに分かった。
(杏のアパート…)
バックミラーごしに映るのは、シオの悲しげな横顔だった。