王様と料理人
「別に何もしなくていいよ。今までどおり、俺のために料理して、一緒に食べてくれれば。」

「え?」

それでいいの?

「今までそんな事したことないからネー。それで充分。」

なんだ、構えて損したかも。

思わず安堵の息をつく。

「わかりました。それくらいならば出来そうです。その代わり、私が帰る方法は必ず見つけてくださいね。前王様に出来たなら、ラウル様にも出来ますよね?」

そう、実は前王様は異世界から紛れ込んだ人物をきちんと元の世界へ帰したことがあるらしいのだ。

「父さんが居ないから、すぐにって訳にはいかないけどねー。今、文献はあたらせてるから。心配しないでいーよ。」

この言葉を聞いて、私は決意した。

「今後も料理人として頑張ります。噂の方は…とりあえず私は無視しますので、ラウル様が巧く躱してくださるようにお願いします。」

「わかったよ。トーコちゃんが帰る日まで、ヨロシクね。」

この日、私とラウル様の密約が結ばれた。




(ごめんねトーコちゃん)
(欲しいものを手に入れるためなら)
(真顔で嘘だってつくよ)
(俺の国最強だから)
(泣く泣く政略結婚なんてありえないんだ)

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