黒猫-私は女王-
伊井田が不安な顔で神夜に尋ねる。
神夜は笑顔でこう答えた。

「面白い事が解ったよ。詳しく説明したいから、別の部屋に移りましょう」

神夜に案内され、モニタールームと書かれたプレートの付いた扉の中へ入る。
名前の通りモニターが、ずらりと並んでいる。
その中で一つだけ電源の入ったモニターの前の椅子に腰掛けると、神夜は静かに説明を始めた。

「発信場所を調べたところ、この赤い点の所からの発信だと解りました」

そう言ってモニターに映し出された地図の赤く点滅している部分を指差し、神夜は説明を続けた。

「音の跳ね返りから推測すると、縦70m、横2.5m、高さ3mのコンクリート製の廊下の様な場所から電話したと考えられます」

今度はモニターの真ん中に人間に見立てた楕円が映り、その周りには神夜が言った通りの寸法で図が緑色の線で描かれた。

「この録音テープの黒猫の声の他に別の音声が聞こえたので、ノイズを抜き取ったところ、このような物が検出されました」

そう言って再生ボタンを押したのと、天宮の携帯電話が鳴ったのは、ほぼ同時だった。
天宮は電話をしながら検出された音声に耳を澄ます。

「えっ!?」

天宮は思わず声を漏らす。
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